乾燥した重々しさ


ナターシャ (新潮クレスト・ブックス)

ナターシャ (新潮クレスト・ブックス)

「ソーネチカ」「ペンギンの憂鬱」を読んでクレスト・ブックス
ロシア系作家のとりこになったわたし。高橋ヨーコさんの写真の
表紙と今までの経験で「絶対面白い」確信して即買い。

タイトルと帯の「16才の春、モスクワから従妹がやってきた」
という文章で ほのかな恋愛小説かしら?なんて想像していたら
全然違いました。
カナダに住むロシア系ユダヤ人の移民の家族の物語。
この表現にいまいちピンとこないかもしれないけれど(わたしも
そうだった)主人公の祖国 旧ソ連ラトヴィアは近年ではナチス
ドイツに占領されるわ スターリン政権下のソ連へ再併合でロシア系
ユダヤ人は特に酷い運命に見舞われるという背景を持っているので
(作中にホロコーストについて何度も書かれている)こちょっと
重いお話なのです。
その重みが根底にありつつ主人公のマークを中心に ご近所の可愛
がっていた犬が車に轢かれたり 学校でのケンカ 従妹と過ごした
しょっぱい夏 ひとつひとつのお話が家族の歴史の層となり
紡ぎだされ 重いんだけどそれだけじゃなくて 本好きの友達がまわり
にいたら有無を言わさず「ちょっとコレ読んで」なんて無理矢理
貸して 感想を語り合いたくなっちゃう、そんな感じです。


しかしこうも自分が現代のロシア文学にハマるということはきっと
チェーホフドストエフスキーもいけるんだろうなぁ なんて妙な
自信をつけてみたり。。。読破してみますか?